INTRODUCTION

SF映画の最もポピュラーなテーマのタイムトラベルには、過去を変えると未来に変化や矛盾が生じるタイムパラドックスが付きものだ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から『バタフライ・エフェクト』まで数多くの傑作&異色作がひしめくこのジャンルに、新たな金字塔というべき衝撃作が誕生した。
奇想に満ちたヴァンパイア映画『デイブレイカー』(09)の気鋭の双子監督、ピーター&マイケル・スピエリッグ兄弟が、イーサン・ホークと再びタッグを組み、ロバート・A・ハインラインによる究極のタイムパラドックス小説「輪廻の蛇」の映画化を実現。携帯型タイムマシンによって時間と場所を自在に瞬間移動できる政府のエージェントが、凶悪な連続爆弾魔を追って命懸けのラスト・ミッションに身を投じる姿を映し出す。1970年のごく平凡な酒場の風景から始まる物語は、中盤にトリッキーな急展開を見せ、約半世紀の時空を小刻みにスリップする壮大なドラマに発展。先読みを一切許さないノワールな映像世界は、登場人物のあまりにも数奇な宿命のミステリーをエモーショナルに解き明かしていく。そして映画史上空前のタイムパラドックスの終着点には、あらゆるスリルや感動を超越した”想像を絶する”真実が待ち受けている!
リチャード・リンクレイター監督との『ビフォア』シリーズや『6才のボクが、大人になるまで。』などでおなじみのイーサン・ホークにとって、本作は『デイブレイカー』に続くスピエリッグ兄弟との2度目のコンビ作。またジョン&ジェーンという時空のみならず性別さえも超えるひとり2役をやってのけた驚異の新進女優サラ・スヌーク、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』『記憶探偵と鍵のかかった少女』の個性派バイプレーヤー、ノア・テイラーも抜群の存在感を放っている。